働き方改革と現実

日曜日の新聞折り込みの採用募集チラシを詳しく見てみると、最近、やけに業務委託の「託」の字を見ます。

が、日時や場所を指定したものが多く、その場合、偽装請負となる可能性があります。管理費として4ヶ月目以降は、別途経費がかかる仕組みで、法定外の控除があるというのも気になるところです。

中には社保完備、完全出来高制と書いてあり、給与保証は3ヶ月までは15万円、その後3ヶ月は5万円という理解不明な内容のものが多数見受けられます。(そもそも、給与と書いているので、実態は業務委託ではないと思われます)

中には、他は時給制なのに、鶏の串刺しだけ業務委託で1本10円とか…。時給1000円とすると、1時間で100本作るということになりますが、80本しか作れなければ800円。最低賃金を割りますね。

労働実態として見ると、雇用契約と見られる可能性もあり、非常にグレーであると言わざるを得ません。

しかも、業務委託契約ということは、個人事業主ですので、経費部分は自分の負担になります。たとえば、交通費。必要経費として払ってくれる会社であればいいのですが、契約に書いていないことも…。あるいは、何かトラブルがあったときに、直で自分に損害賠償を負わされるというリスク。雇用関係であれば、まず、問題にはならなかったであろうことが色々出てきますので、ダブルワークができるというメリットはある一方で、リスクもきちんと考えて契約をするようにしなければ、身を滅ぼす結果となりかねません。


改正労働契約法の無期転換ルール【2018年問題】

2018年(平成30年)は、診療(調剤)報酬・介護報酬の同時改定時期でもありますが、実は、有期契約労働者等(フルタイム、パート等)でも、2013年4月1日から通算して5年働いている場合、無期雇用の正規社員として転換請求ができるという通称「2018年問題」があり、企業の対応が急がれております。

前の雇用契約と後の雇用契約の間に6ヵ月以上のクーリング期間を設けると0カウントになるので、勤続5年到達前に雇止めを行ったり、派遣契約や業務委託契約にしたり等(これは認められません)、色々あの手この手で考えることが出てきております。

しかしながら、今現在、労働市場は慢性的な人手不足であるということを鑑みると、積極的に有期契約労働者等を無期雇用とする動きもあっていいのではないか?という考え方もあります。

無期契約の正規社員ではなく、無期契約のフルタイム、パートとして契約するという考え方です。ただし、これをするには、就業規則等で明確に区分して規定し、周知しておくことが必要です。

例えば、5年間パートで働いていた方が、2018年4月1日以降も同じ条件で、続けて働きたいと申し出た(更新の)場合には問題にはなりませんが、期間の定めのない労働契約の締結の申し込みをしてきた場合で、会社に「正規社員」と「有期契約のパート」の就業規則しかない場合は、たとえ正規社員としての能力・知識等を備えていない労働者であっても、「正規社員」の労働条件で働かせなければなりません。

本来であれば、5年間の間に必要な能力・知識等を高め、社内試験を受ける等をして正規社員になることが望ましいのですが、多くの場合は必ずしも思ったようにはいきませんし、会社にも生産性の低い正規社員を雇う余裕の有無の問題もあります。

であるのならば、就業規則で「無期契約のパート」という区分を作って、今後のキャリアアップも考慮した制度を導入する等をして、戦力となる正規社員を育てるという視点でやってみるというのも一つの策ではあると考えます。


若者のパソコン離れ

最近、若者のパソコン離れが進んでいるという話題があります。

私の世代(30代後半)では、ようやくGUIインターフェースを内蔵したOSが普及し出したところで、今のようにネット環境も充実しておらず、電話線を使ってアナログ回線でつなぐというものでした。パケットにより課金されていく仕組みで上限がなく、しかも、通信速度も遅いので今のように動画のダウンロードはできませんでした。

そこから、今の技術レベルまでの変遷期であったこともあり、パソコンを持つことは当たり前で、OSがバージョンアップする度に店に並んだで買ったり、新機種に買い換えたりということをやっておりました。

今はスマホの普及により、いつでもどこでもネットサーフィン、動画の閲覧、簡単な文書の作成やホームページ(ブログ)の更新等、ある程度のことはスマホでできてしまうので、パソコンの有用性が薄れてしまってきているような気がします。

しかしながら、仕事は、パソコンで資料等を作成することが当たり前で、「パソコンができない=仕事ができない」という事実に直面します。そういった社員が入ってくるということは十分想定されますので、入社時教育の一貫として、パソコン研修を取り入れてみるのも良いのかもしれません。


個人所有の車を業務で使う場合のあれこれ

よく、通勤などで車を使われている方がいらっしゃると思います。しかし、車といったら、事故は付き物ですよね。

最寄りに公共交通機関がないなどで、車通勤を認めてる会社様も結構ありますが、では、その通勤で使っている自分の車を仕事で使うという場合はどうなのか?ということを見ていきたいと思います。

会社が仕事で使うことを前提に採用している場合は、就業規則(社用車に関する規程)等があり、自己所有の車を社用車として使用する場合の規定が書いてあると思います。

それによって、事故が起こった場合は、会社が加入している保険で相手先に支払ったり、過失割合等によって従業員に求償したりする仕組みがあったりすると思います。

では、そんな仕組みがないのに自己所有車で営業させていた、あるいは、仕組みはあるけど会社に許可なく勝手に自己所有車で営業していた場合はどうなるのか…。

当然、保証はされないというふうになってくるわけです。自賠責の限度額は3千万円ですので、当然ながら、それを越える損害賠償額になってくると、個人では支払えないということになり、会社に請求が行く可能性があります。(民法715条使用者責任)

そうならないようにするには、就業規則等で「会社の承認により車通勤を許可するものとする。ただし、自己所有車を使用し営業を行うことは許可しない。」または「自己所有車を使用し、営業をする場合は会社の承認を得ること。」等として周知徹底しておく必要があります。


本日、両立支援等助成金ページをアップいたしました。

本日、両立支援等助成金ページをアップいたしましたが、書いていて文字ばっかりになってしまい、大変申し訳なく思います。

本当はエクセルで図を描いたりして、解りやすく図解をしたいところなのですが、いかんせんそれをやっている時間がございません。サクサクと作っていきたいと思います。

さて、両立支援等助成金は、今年1月の育児・介護休業法が改正を受けて、育児休業・介護休業取得後の職場(原職)復帰、または離職後の再就職という点が非常に強調されているという内容となっております。また、女性の活躍推進ということも引き続き力を入れております。(生産性要件はよくわからないのです。普通に考えたら生産性は下がりますので)

人手不足の昨今、働きたいけど育児や介護で働けなくて、やむを得ず会社を辞めてしまうというのは企業にとって大きな損失です。もし、働き続けながら、育児や介護ができる職場が当たり前にある会社であればどうでしょうか?働きたいと思いますよね。

制度としてそういうのがあるからやるという機械的な考え方ではなく、そこで働く一人一人が意識して、譲り合う気持ちを持てる企業風土を作っていければと思います。


本日3タイトル更新

助成金ページ 「職場定着支援助成金」「65歳超雇用促進助成金」「キャリアアップ助成金」を更新いたしました。

「職場定着支援助成金」は、保育事業所もございますが、介護事業所のみ載せております。(全部ではございません)

「65歳超雇用促進助成金」は5月1日から受給額が変わるのと、対象経費の範囲が変更されました。また、「環境整備」や「無期雇用転換」に関してコースが拡充されました。

「キャリアアップ助成金」は、これまで3コースだったのが、8コースに変わり、法定外健康診断制度、賃金・諸手当規定の変更、社会保険適用拡大に対する対応等により助成される要件・額等が細かく変わっております。

これらの助成金のほぼ全般に渡って「生産性要件」というものがあり、これを満たしている場合は、助成額に加算をされるという仕組みが導入されております。

なお、助成金は、『労働者名簿』『賃金台帳』『出勤簿(タイムカード)』はもちろんのこと、『就業規則』等の整備がなされていないと、受けられませんので、まだ、やっておられない事業主様は、今のうちから準備をされることをお勧めいたします。


ただ今、雇用保険関係助成金ページの更新中です。

厚生労働省の「事業主の方のための雇用保険関係助成金」ページが変わりましたので、それに合わせて、ただ今、ホームページを鋭意更新中でございます。まだ途中ですので、正しくない部分等ございます。もし、今助成金の申請を考えている方がいらっしゃった場合は、厚生労働省のホームページをご参考ください。

※事務所ホームページでは、雇用保険関係助成金のうち、トピックや使いやすいものを抜粋して載せております。


雇用保険法等の一部を改正する法律案

この法律案は、3月31日、参議院本会議で可決、成立しました。

概要は以下のとおり

1.失業等給付の拡充(雇用保険法)

2.失業等給付に係る保険料率及び国庫負担の時限的引き下げ(雇用保険法、労働保険徴収法)

3.育児休業に係る制度の見直し(育児・介護休業法、雇用保険法)

4.雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)に係る生産性向上についての法制的対応(雇用保険法)

5.職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化(職業安定法)

【雇用保険法等の一部を改正する法律案(平成29年1月31日提出)】

(参考)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/193.html

 

上記、改正の中で、ニュース等でも話題になったのが、「5.職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化(職業安定法)」です。

労働条件の明示が、求人募集の段階か、労働契約の段階か、その内容には固定残業代、試用期間、裁量労働制、派遣労働の明示が含まれるのかなど。

私的には、固定残業代に関しては、労働者の不利益にならないよう、たとえば、「20時間分の残業代を業務手当として基本給に上乗せして支払い、20時間を上回る残業をしている月は別途残業代を計算し支給する」としている場合であれば問題ないと思うわけです。

固定残業や裁量労働制が悪いというわけではなく、労働者に正しい情報を伝えて、正しく運用できていれば良いわけですが、実際は、制度が濫用されて、事業主のいいように解釈されて運用されているということに問題があるような気がいたします。


メンタルヘルス対策としてのストレスチェックの活用

平成27年12月より、労働安全衛生法66条の10(心理的な負担の程度を把握するための検査)が創設されました。いわゆるストレスチェックです。

これにより、事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回定期に、下記所定の事項について、医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「検査」という。)を行わなければなりません。(常時50人未満の事業場においては、当分の間、検査の実施は努力義務です。)

※医師等とは、医師保健師、検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士等です。

<所定の事項>

①職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目

②当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

③職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

〇ストレスチェック及び面接指導の流れ

長時間労働による心身の不調のみならず、心理的負荷によるメンタルヘルス不調を未然に防止するために拡充されております。是非、ご活用されて、安全安心な職場づくりにお役立てください。

【労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル】

【ストレスチェック制度 Q&A】

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf

【「厚生労働省版ストレスチェックプログラム」ダウンロードサイト】

https://stresscheck.mhlw.go.jp/


パワハラとは

最近、残業代未払い、宅急便料金の大幅値上げ等、何かと世間を騒がしているY社ですが、パワハラ自殺という非常に重い事件がテレビ等で話題になっております。

◆そもそも「パワハラ」とは何なのか? 

一般的には、職場における『いじめ』『嫌がらせ』のことです。「なーんだ!いじめ、嫌がらせのことか!!」と、そんなに大したことではないと思われている方もいるかもしれません。

しかし、それがもとで、人が亡くなっている以上、社会的に見過ごせない問題であるということは一目瞭然です。

厚生労働省がまとめている「平成26年度個別労働紛争解決制度施行状況」によりますと、総合労働相談は7年連続100万件を超え、うち民事上の個別労働紛争相談件数は238,806件、このうち、『いじめ・嫌がらせ』に関する相談件数は62,191件(前年比105%)で3年連続トップ、助言・指導の申出は1,955件(前年比95.5%)で2年連続トップ、あっせん申請では1,473件(前年比99.9%)で初めてトップになりました。

◆「パワハラ」は法令等に明確に定義されていない

にも関わらず、「パワハラ」を規制する法律、命令等はなく、どこまでが許され、どこまでが許されないのかということは、まさにグレーゾーンで、個別具体的な事件ごとに最終的には裁判で判断されるということになります。

その結果、違法ということになれば、上司や会社が法的責任(損害賠償義務等)を負うことになります。

しかし、逆に「パワハラ」という言葉に委縮し、本当に指導すべき局面において、上司が部下を強く指導できないとなれば、組織の弱体化を招きます。「パワハラ」とならないためには何に留意すればよいのかという確固たる指針を確立することは、企業にとって極めて重要となってきていると言えます。

◆パワハラの種類(裁判例)

1.典型的な「いじめ」・・・上司らが職員に対して、見た目や体型に関する人格否定、ナイフで刺す等の脅し等のいじめを行い、職員が自殺したという事案

2.極端な降格・・・リストラに消極的な態度を取る勤続33年の管理職を、20代女性契約社員が担当していた受付業務へ降格させたという事案

3.仕事を干す・・・配転を拒否した女性従業員に対して、1年にわたり仕事をさせず、同僚に命じて仕事の話をさせず、「トイレ以外はうろうろするな」等繰り返し嫌味をいい、電話も取り外したという事案

4.退職勧奨・・・高校教諭を退職させるため、教育委員会への出頭を命じたうえで、1回20分から2時間超にわたって、6名の担当者が1人ないし4人で短期的に、多回数(11~13回)にわたって、「あなたが辞めたら2,3人は雇えます」などと退職勧奨した事案

5.行き過ぎた業務上の指導・叱責

(メールでの指導・叱責)・・・会社の所長が部下の課長代理に対して、業務指導の一環として叱責メールを送付し、同時に同じ職場の従業員数十名に対しても同じ内容を送信したという事案

(人格的攻撃)・・・上司である係長から指導の中で、「存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している。おまえのカミさんも気がしれん、お願いだからきえてくれ」「お前は会社を食いものにしている、給料泥棒」「お前は対人恐怖症やろ」「肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか」などと発言され、結果、精神障害を発症して自殺した事案

(指導・叱責後のフォロー)・・・海上自衛隊員が、上司である班長から行き過ぎた注意指導を受けていたとして、護衛艦乗艦中に自殺した事案。また、厳しい指導を行った後に心情を和らげるような措置を取っていないという点を違法理由とした事案

(指導・叱責の前の事情聴取)・・・路線バスの運転手が、駐車車両にバスを接触させたにもかかわらず反省がないとして、会社が下車勤務として約1ヵ月の除草作業を命じた事案

 

◆企業の対処法

では、実際にパワハラ事件が起こらないようにするには、どうすればいいのかということですが、教育をすることと相談窓口を設置するということが不可欠と言えるでしょう。また、必要に応じて、外部の専門家や役所等に相談できるような体制を整えておくことが必要です。

1.教育・研修の実施

①従業員教育・・・「職場でのいじめ行為等がパワハラとして違法となる」ということを、教育・研修等を通じて従業員に周知徹底させる必要があります。

②管理者教育・・・部下の指導・叱責が行き過ぎてパワハラになる事例も多くみられますので、管理職研修において指導・叱責のし方について言及することは必須といえます。また、管理職に関しては、部下のいじめ行為を放置しておくと監督責任を問われること、逆に、パワハラと言われることを過度に恐れて、部下のミスや問題行動を放任してはならないことも、併せて教育する必要があります。

2.内部通報窓口の設置

本来、パワハラが起こっていることを察知して状況を改善する役割を担うのが管理職なのですが、管理職自身がパワハラを行っている場合は、情報が会社の上層部に伝わらないという問題点があります。したがって、直属の上司以外のルートで職場内の不満を吸い上げて是正するシステムが必要であり、内部通報窓口を設けることが有効です。

しかし、内部通報窓口を設けても現実にはあまり機能していないという場合も考えられます。「自分が通報したことがバレて、将来不利益を被るのではないか」という不安があることと、「どのような場合にどこに何を通報すればよいのかイメージできない」ということがあります。

これをするためには、外部の法律事務所等を通報窓口として匿名通報を受け付けること、通報後にその情報を誰がどのように利用するのかのルールを明確にし、就業規則等に定め、定期的に重点項目を設定して「○○のときは△△に通報しましょう。」等のポスター等を掲示、会議体での連絡事項等で周知するなどし、会社全体で取り組んでいく姿勢が必要であるといえるでしょう。