人手不足で増えている「自己都合退職トラブル」

◆自己都合退職トラブルとは

退職の意思を会社に伝えようとする従業員に対し、会社が退職を認めないという「自己都合退
職トラブル」が増加しています。
「上司が面談に応じない」「退職届を受理しない」「離職票さえ渡さない」「有給休暇を取得
させない」「辞めた場合は損害賠償請求すると脅迫する」などがその代表例です。

◆解雇トラブルの相談件数と逆転

昨年度、都道府県労働局および労働基準監督署に寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、
「自己都合退職」は2番目に多い38,954 件でした。この件数は直近10年間で増え続けており、
2015 年度(平成27年度)を境に「解雇」を上回っています(厚生労働省「平成29年度個別労
働紛争解決制度の施行状況」)。
かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、人手不足のいまは自己都合退
職トラブルが多い時代です。この傾向はしばらく続くでしょう。

◆民法上は2週間で退職できる

労働者は法律上、期間の定めのない雇用の場合、いつでも雇用の解約の申入れをすることがで
きます。また、会社の承認がなくても、原則として解約の申入れの日から2週間を経過したとき、
雇用契約は終了します(民法627条1項)。
就業規則の「退職」の項目においては、業務の引継ぎ等の必要性から、「退職希望日の少なく
とも1か月前に退職届を提出」等と規定することも多いですが、この規定のみを理由に退職を認
めないということはできません。

◆従業員の退職でもめないために

一度退職を決意しその意思を表明している従業員に対し、慰留・引き留めを行ったところでさ
ほど効果はないものですし、度を過ぎれば前述のような法的案件にもなりかねません。
くれぐれも感情的な対応はせず、淡々と引継ぎや退職手続をさせましょう。
最近では、「退職代行ビジネス」といわれる、民間企業が本人に代わって退職手続を行うサー
ビスを利用して、会社との自己都合退職トラブルを防ぐ退職者も増えています。この場合、本人
と面と向かうことなく、会話もないまま退職が完了してしまいます。
従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、そもそも「辞めたい」と思わせない会社
づくりも大切です。


年末調整の季節がやってきました!

今年も、もう11月ですね。
ちょっと前までは、暑くてハンカチが手放せなかったのに、季節も移ろいで、すっかり寒くなりましたね。
ということで、アレの季節がやってきました。
そうです、インフルエンザ…ではなく、年末調整です。
みなさんの会社では、どのように取り組まれているのでしょうか?

給料の締日が月末締めで、翌10日払いとか翌25日払いとかいう会社さんが多いのではないでしょうか。
そうしますと、所得税は支払日の月で計算しますので、例えば「11月分給与」といった場合には、支払日は12月ですので、11月分給与が平成30年の最終の給与ということになります。

ですので、11月ごろを目途に年末調整の計画を立てられると思います。
ただ、みなさんも経験されたと思いますが、計画を立ててもバッタバタになります。
特に、書類の配布を行ってからの回収が期限を守らない方が多く、期限が過ぎて催促してやっと出てくるというのが恒例行事という感じです。

しかも、今年は所得税法改正の影響もあり、書式が一部変わっております。

① 平成31年(2019)分  給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
② 平成30年分 給与所得者の保険料控除申告書
③ 平成30年分 給与所得者の配偶者控除等報告書

の三枚を書いてもらうことが必要になります。
特に、配偶者控除等報告書についてが変わったところで、書き方がややこしくなっております。
所得ではなく収入を書かれる方がいらっしゃるので、計算が間違えていたりします。
大変そうですねぇ…他人事みたいに行っておりますが、うちでも何社かやります。
去年の会社さんでやったことは、保険料控除の額の計算が大いに間違っていて全部見直したことと、マイナンバーの収集がなかなか進まないということでした。
既に、マル扶の紙でマイナンバーを出している方についてはいいのですが、出していない方のマイナンバーを収集するのが大変でした。無くして再発行とかいう方もいらっしゃいました。

マイナンバー…これによって、雇用保険手続や社会保険手続もずいぶん変わりました。雇用保険手続は必ずマイナンバーが必要になんだけれども、社会保険手続は「マイナンバー又は基礎年金番号」という良くわからないことが起こり、添付書類の有無や書式自体がその都度変わるので、お客さんに説明するのには非常に苦慮します。
話の腰が折れましたが、年末調整は本当に何があるかわかりません。
早め早めの計画を立て、書類を期限までに回収することを目指して頑張りましょう!!


最近、流行りの…

当事務所では、給与ソフトに弥生給与を使用しています。パッケージソフトなので、何社登録しようが、何人登録しようが加算はないのでコストということを考えると理にかなっているといえます。あと、サポートが結構手厚いというのも魅力です。

一方、弱いのは他システムとの連携です。例えば、勤怠システムとAPIで連動させて、勤怠システムにきちんと情報が登録されてさえいれば、自動で給与計算を行ってくれるというようなことができません。CSVファイルに落として、さらに加工したものをアップロードすることで使えるものはあるのですが、それだと結構手間暇がかかります。

最近、流行りのといいますか、かなり普及は進んでは来ているのですが、クラウドを使った勤怠管理ソフト、給与ソフトや会計ソフトが連動して、自動的に給与計算してくれたり、仕訳したりしてくれたりするものがあります。社労士の業務ソフトもクラウドで連動して使うことができます。

ただ、便利なものには罠があるといいますか、毎月何人でいくらという金額がかかってきます。それと、ソフトの性能を過信してしまい、間違いに気づかないということもしばしば起こるようです。また、結構頻繁にシステムメンテナンスがあるため、使いたいときに使えないという不便なことも起こり得ます。

まとめますと、どんなに技術が進歩したとしても、基本的なことは変わらないということです。自動化できるところは自動化、省力化でいいですが、問題が起こったときに、すぐ対応できるように常に備えておくことが大事ということです。

ただ、やりもしないで、知らないで「あれは駄目だ、これは駄目だ」と言っているだけだと、時代に置いていかれますので、常に新しいことを取り入れつつも、基本はきっちりこなすということが、これからのAI時代には必要なのではないでしょうか。

ちなみに私はクラウド会計、業務ソフトも積極的に使っております。四苦八苦しながらですが。


固定残業代の計算について

中小企業では、残業代を含めていくらと表示する会社が多いと存じますが、よく聞かれますので投稿いたします。

たとえば、月給25万円の中に20時間の残業代を含めるには、いくらを固定残業代にすればよいでしょう?
ただし、月所定労働時間は165時間とします。

250,000=Z(基本給)+Y(固定残)
Y=1.25Z÷月所定労働時間×20時間

上記の連立方程式を計算すると以下のようになります。

Z+1.25Z÷165×20=250,000
190Z÷165=250,000
190Z=41,250,000
Z=217,105.263…
≠217,105(1円未満切り捨て)

※1円未満切り捨ては、固定残業代の端数分が不足しないようにするためです。

よって、固定残業代は、
250,000円-217,105円=32,895円となります。

実際に使う際は、

基本給=月給×月所定労働時間÷(月所定労働時間+固定残業時間×1.25)

をすると出てきます。ただし、月所定労働時間で割って最低賃金を割らないように気をつけましょう。

その他にも、色々と法律上の注意事項がありますので、後々のトラブルを考えるのであれば、やらない方が良いと思います。導入される場合は専門家にご相談ください。


「健康保険法及び厚生年金保険法における 賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正

◆平成27年改正による「賞与に係る報酬」

厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。
年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として、保険料算定の際の基礎にされます。
しかし、事業者の中には、保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、賞与を12回に分割するなどして保険料を安くするものでした。
これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。

◆今般の改正による「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」、「賞与」の明確化

平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点(①・②)が加わりました。
① 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二つ以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。
② 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。
厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。
具体的には、
①については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること
②については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであることとされています。
本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。

※解りづらいので、ざっくり申し上げますと「年4回以上に分けて賞与を支払う場合でも、年間の賞与額を足して高い方の保険料を計算した上で納めるようにしなければならないことがあります。」ということです。


ワークショップ形式のセミナー開催のお知らせ!

今週で近々ですが、フレンドリンク異業種交流会とコラボで、ワークショップ形式のセミナーを開催いたします!
下記、リンクからご応募お待ちしております。

https://friendlink.jp/event/6105/

<開催日時> 9月22日(土)12:10~

<会場> グットスペースBlue Mountain 9階B号室
千葉県千葉市中央区富士見2丁目15-1ワラビビル

<参加費> 2000円(ドリンク代・会場費含む)
<内容>
・「未来会計図で簡単に業績を知ろう」 税理士 / 古内 宗希先生
・「資格(検定)で本業をもり立てよう」司法書士 / 景山 悟先生
・「労働条件の作り方」 社会保険労務士 / 市川 直人先生


「働き方」が変わります!!

2019年4月1日から、働き方改革関連法が順次施行されます。

1.時間外労働の上限規制が導入されます!
2019年4月1日~(中小企業は2020年4月1日~)

時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要があります。

2.年次有給休暇の確実な取得が必要です!
2019年4月1日~

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。

3.正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されます!
2020年4月1日~(中小企業は、2021年4月1日~)

同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者等)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されます。

※厚生労働省パンフレット参照

しれっと書いてありますが、結構大変なことですので、早めに対策を取ることをお勧めいたします。
特に、正規雇用と非正規雇用の待遇差の是正は、賃金に直結してくる問題です。手当等が複数あり、正規雇用と非正規雇用で金額が違うなど不合理がある場合は対策が急がれます。
お近くの社労士までご相談ください。


労働時間の把握、来春より管理職にも義務化

◆労働時間の記録と保存

来年4月から、いわゆる「管理職」の労働時間把握と、その記録の保存が企業に義務づけられ
ると報道されました(日経新聞7 月31 日付)。
現状でも、企業はタイムカードやパソコンなど「客観的な方法」により労働者の労働時間を記
録し、3年間分保存しなければなりません(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者
が講ずべき措置に関する基準」)。この範囲に、新たに管理職も含まれるとのことです(取締役
ら経営陣は対象外)。

◆労基法の管理監督者

労働基準法の「管理監督者」は、労働時間や休日の規定の対象外とされています(ただし深夜
割増賃金の支給や年次有給休暇の付与は必要)。
管理監督者は、経営に参画する立場として、自らの労働時間に一定の裁量があるためです。
そのため、管理監督者の労働時間の把握や保存の義務はありませんし、それゆえ現状で管理監
督者の労働時間管理がなおざりになっている企業もあるでしょう。

◆改正安衛法の「面接指導」

一方、今回の労働時間把握義務は、労働安全衛生法(安衛法)上の「面接指導」を目的とする
趣旨です。安衛法は、管理職を含むすべての労働者の健康管理等を目的としています。
該当条文は以下の通りです。
「事業者は、(略)面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(略)
の労働時間の状況を把握しなければならない。」
(改正第66 条の8の3)

◆管理職の過重労働にも注意

条文等で明らかでない詳細については、今後の政省令等を待つことになりますが、さしあたり
企業の実務上、現在一般社員が行っている出退勤記録と同じことを、管理職にも徹底させる必要
がありそうです。
昨年は、大手電力会社の課長職の過労自殺や、ドーナツのフランチャイズ店の店長(「名ばか
り管理職」と批判されました)の過労自殺など、管理職の過重労働に関する報道も少なからずあ
りました。
一般従業員だけでなく、管理職の過重労働にも注意していきましょう。


従業員の健康情報取扱規程の策定が必要になります

◆働き方改革法で規定

働き方改革法成立を受け、主に労働時間に関する改正が話題になっています。しかし、この法律によって変わるのはそれだけではありません。
労働安全衛生法改正により産業医や産業保健機能の強化がなされ、労働基準法改正による長時間労働抑制と両輪となって労働者の健康確保が図られるようになるのです。
具体的には、労働安全衛生法に第104条として「心身の状態に関する情報の取扱い」という規定が新設され、会社に従業員の健康情報取扱規程策定が義務づけられます。

◆規程の内容等は指針で明らかに

厚生労働省の労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会では、4月下旬から事業場内における健康情報の取扱いルールに関する議論を行い、7月25日に指針案を示しました。
案では、個人情報保護法の定めに基づき、事業場の実情を考慮して、(1)情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、(2)情報の漏えい、紛失、改ざん等の防止のための措置、(3)保管の必要がなくなった情報の適切な消去等、について適正に運用する必要があるとして、規定すべき事項を9つ示しています。

◆衛生委員会等での策定が必要

指針案によれば、「取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、策定したものを労働者と共有することが必要」としています。共有の仕方については、「就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等により周知する方法が考えられる」としています。
なお、衛生委員会等の設置義務のない事業場については、「関係労働者の意見を聴く機会を活用する等、労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、労働者に共有することが必要」としています。

◆小規模事業場における取扱い

小規模事業場においては、医療職種等の産業保健業務従事者の配置が不十分である等、原則に基づいた十分な措置を講じるための体制を整備することが困難なことも想定されます。ただし、そのような場合にも、事業場の体制に応じて合理的な措置を講じることが必要 であるとのこととされております。したがって、就業規則作成義務のない常時10人未満の事業場においても、この規程を作成周知すること及び規程に基づき適正な運用が求められてくるものと思われます。平成31年4月1日施行が予定されており、まだ時間的猶予はございますが、就業規則の作成及び改定を行う際に合わせて、体制の整備等を含めてご検討されることをお勧めいたします。


66歳以上まで働ける企業の割合に関する調査より

◆66 歳以上まで働ける企業の割合が増加

厚生労働省が公表した労働市場分析レポート「希望者全員が66 歳以上まで働ける企業の割合について」によれば、従業員31 人以上規模の企業で、希望者が66 歳以上まで働ける企業の割合が、平成29 年度で9.7%(前年比1.2 ポイント増)に上ることがわかったそうです。

◆企業規模が小さいほど65 歳を超えた高齢者雇用に積極的

企業規模別にみると、31~100 人規模で12.0%、101~300 人規模で6.2%、301 人以上で3.0%と、規模が小さい企業のほうが、65 歳を超えた高齢者雇用に積極的であることがうかがえます。
また、ここ5年間では全体的にゆるやかな増加傾向が続いていていたところ、平成28 年度から平成29 年度にかけての伸びは大きくなっています。

◆定年廃止も約3割

希望者全員66 歳以上まで働ける企業の雇用確保措置内容の内訳としては、「希望者全員66 歳以上継続雇用」が55.0%と最も多く、「定年なし」も26.8%と約3割を占めています。
建設業、情報通信業、宿泊、飲食サービス業などでは、比較的、定年を廃止とする措置が多い傾向にあり、人手不足の産業を中心に、長く働ける措置を実施している企業が多いことがわかります。

◆国も高齢者雇用を推進

厚生労働省は、従業員が31 人以上規模の企業で、65 歳までの継続雇用を再雇用制度で対応している約12 万社を対象に、定年制の撤廃や再雇用年齢の引上げを呼びかけるとしています。
今後は、高齢者雇用の取組みがますます求められてくる中で、企業としても、高齢者雇用に対応した処遇制度や研修体制、健康配慮の体制などを整えていく必要がありそうです。

【厚生労働省「労働市場分析レポート」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000307818.pdf

 

これから66歳超の高年齢者を雇用したいという企業様におかれましては、助成金を活用して制度を導入するといったものもございますので、是非、ご相談いただければと思います。