◆妊娠中の女性が新型コロナウイルスに感染すると?
新型コロナウイルスのワクチンは現在のところ開発されておらず、治療薬レムデシビルは、厚生労働省が発出した通達で妊婦に使用しないよう要請されています。また、アビガンⓇ錠の患者向け資料では「妊娠中に服用することで胎児の奇形や流産・死産を起こす可能性があります」と、注意を促しています。
つまり、妊娠中の女性が感染した場合、他の人よりも治療方法が限定されてしまう可能性が高いことがわかります。
◆妊娠中の女性労働者の本音は?
株式会社ベビーカレンダーが4月下旬に公表した妊娠中の女性労働者へのアンケート結果では、約4人に1人が通常どおり出勤していて、在宅勤務中や自宅待機(休業)中と答えた割合よりも多くなっています。
出勤している理由は、「在宅勤務や時差出勤をしたいが、会社で認められていないため(在宅勤務が困難な職種も含む)」が41.1%、「休業または退職したいが、金銭面が不安なため」「休業または退職は考えておらず、産休まで仕事を続けたいため」が同率34.3%でした。
◆5月7日より女性労働者が申し出た場合の措置が義務とされています
厚生労働省では、指針を改正し、医師等が作成した母性健康管理指導事項連絡カードを、女性労働者が事業主に提出した場合、必要な措置を講じるよう義務付けています。
来年(2021 年)1月31日までの時限措置ですが、措置を講じない場合は企業名公表等の罰則が適用されます。
◆母性健康管理指導事項連絡カードとは?
妊娠初期から産後の回復期までの体調に応じて、休業(入院加療、自宅療養)、勤務時間の短縮、負担の大きい作業・長時間の立作業・同一姿勢を強制される作業の制限または勤務時間の短縮等の措置を、どの程度の期間講じる必要があるか、医師等が指導内容を記載するもので、診断書の代わりとなるものです。
◆対応にあたっては専門家に相談しましょう
カードを提出されたが具体的にどうすればよいかわからないという場合、産業医等の専門家に相談することが有用と考えられます。提出を受けた場合には、個人情報の取扱い等も含めて相談するとよいでしょう。