近年、情報通信技術の進歩により、多様な働き方が可能になり、自宅でのテレワーク、社用のスマホ、パソコンやタブレット等を利用して、外出中や自宅であっても、メールチェックが可能になっていることも少なくありません。
たとえば、休日に自宅で業務のメールが送られてきたときに、対応するのかしないのかということがあったとします。普通であれば、対応しちゃいますよね。
就業時間中に仕事が終わらなくて、仕事を持ち帰って、帰宅してから自宅で仕事をするというのは、直接の指揮命令がなかったとしても黙示の指揮命令として労働時間に当たる可能性が高いですが、上記のメールチェックはどうなのか?と言われるとグレーですよね。
「至急の連絡ではないけれども、上司や同僚の評価、顧客との関係等を考えると対応した方が良いかな」という気持ちで動いてしまうということがあると思います。
そこが日本人の勤勉さというか、今の長時間労働問題の根幹となっているような気がいたします。
ただ、その時間が労働時間となるか否かでいう問題でいくと、労働時間(待機時間)になる可能性は高いです。就業規則等で職場以外でそのような労働時間が発生するということは原則禁止あるいは許可制にするなど周知徹底し、対応しないからといって評価が下がったり、不利益を被るようなことがないようにしておく必要があります。
また、そのようなルールを作って運用していたとしても、形骸化して、運用とズレが生じているような場合は全く持って意味をなさないものとなってしまうことがあるので注意が必要です。(たとえば、許可を取ればやっていいという解釈で濫用してしまう等)
日本ではまだ、この「つながらない権利」というのは積極的に認められていませんので、どこまで認められるかということは、個別具体的な争訟の場で争われることとなりますが、企業においては、余計なリスクを回避するためにも予め就業規則等で定めて、周知徹底、従業員(管理者)教育を行う等の対策をされることが望まれます。