来春、年次有給休暇の一部が強制付与に

◆「働き方改革法」成立で年休5日の強制付与が義務化

「働き方改革関連法」成立に伴う労働基準法の改正により、2019 年(平成31年)4月から、
使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日間につい
て、時季を指定して年次有給休暇を与えることが必要となりました(ただし、計画的付与制度な
どにより労働者がすでに取得した年次有給休暇の日数分は、時季指定の必要がなくなります)。

◆年休取得率の低迷が背景

これは、年次有給休暇の取得率が低迷していて、いわゆる正社員のうち約16%が年次有給休暇
を1日も取得しておらず、また年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間
労働の比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇取得が確実に進む仕組み
を導入することとしたものです。
年次有給休暇については、仕事と生活の調和推進官民トップ会議において策定された「仕事と
生活の調和推進のための行動指針」において、2020 年までにその取得率を70%とすることが目
標として掲げられています。

◆厚労省がリーフレット作成

厚生労働省は、作成したリーフレットにて「計画的付与制度の活用」「チームのなかで情報共
有を図って休みやすい職場環境づくり」「土日祝日にプラスワンした連続休暇取得の促進」など
を掲げ、その具体的な手法と効果を紹介しています。
来年度になって慌てて対策を講じなくてすむよう、いまから具体的な制度設計と運用方法を検
討しておきましょう。
(参考)「年次有給休暇取得促進期間」とは
厚生労働省は、年休を取得しやすい環境整備を推進するため、次年度の年休の計画的付与
制度について労使で話し合いを始める前である10 月を「年次有給休暇取得促進期間」と
して、全国の労使団体に対する周知依頼、ポスターの掲示、インターネット広告の実施など、
集中的な広報活動を行って、計画的付与制度の導入を促進しています。

【厚生労働省「年次有給休暇取得促進」事業主向けホームページ】
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/sokushin/
jigyousya.html


「働き方」が変わります!!

2019年4月1日から、働き方改革関連法が順次施行されます。

1.時間外労働の上限規制が導入されます!
2019年4月1日~(中小企業は2020年4月1日~)

時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要があります。

2.年次有給休暇の確実な取得が必要です!
2019年4月1日~

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。

3.正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されます!
2020年4月1日~(中小企業は、2021年4月1日~)

同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者等)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されます。

※厚生労働省パンフレット参照

しれっと書いてありますが、結構大変なことですので、早めに対策を取ることをお勧めいたします。
特に、正規雇用と非正規雇用の待遇差の是正は、賃金に直結してくる問題です。手当等が複数あり、正規雇用と非正規雇用で金額が違うなど不合理がある場合は対策が急がれます。
お近くの社労士までご相談ください。


従業員の健康情報取扱規程の策定が必要になります

◆働き方改革法で規定

働き方改革法成立を受け、主に労働時間に関する改正が話題になっています。しかし、この法律によって変わるのはそれだけではありません。
労働安全衛生法改正により産業医や産業保健機能の強化がなされ、労働基準法改正による長時間労働抑制と両輪となって労働者の健康確保が図られるようになるのです。
具体的には、労働安全衛生法に第104条として「心身の状態に関する情報の取扱い」という規定が新設され、会社に従業員の健康情報取扱規程策定が義務づけられます。

◆規程の内容等は指針で明らかに

厚生労働省の労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会では、4月下旬から事業場内における健康情報の取扱いルールに関する議論を行い、7月25日に指針案を示しました。
案では、個人情報保護法の定めに基づき、事業場の実情を考慮して、(1)情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、(2)情報の漏えい、紛失、改ざん等の防止のための措置、(3)保管の必要がなくなった情報の適切な消去等、について適正に運用する必要があるとして、規定すべき事項を9つ示しています。

◆衛生委員会等での策定が必要

指針案によれば、「取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、策定したものを労働者と共有することが必要」としています。共有の仕方については、「就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等により周知する方法が考えられる」としています。
なお、衛生委員会等の設置義務のない事業場については、「関係労働者の意見を聴く機会を活用する等、労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、労働者に共有することが必要」としています。

◆小規模事業場における取扱い

小規模事業場においては、医療職種等の産業保健業務従事者の配置が不十分である等、原則に基づいた十分な措置を講じるための体制を整備することが困難なことも想定されます。ただし、そのような場合にも、事業場の体制に応じて合理的な措置を講じることが必要 であるとのこととされております。したがって、就業規則作成義務のない常時10人未満の事業場においても、この規程を作成周知すること及び規程に基づき適正な運用が求められてくるものと思われます。平成31年4月1日施行が予定されており、まだ時間的猶予はございますが、就業規則の作成及び改定を行う際に合わせて、体制の整備等を含めてご検討されることをお勧めいたします。