厚生労働省「モデル就業規則」が改定されました

◆「モデル就業規則」とは?

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法の規定(第89 条)により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています(就業規則を改定する場合も同様です)。
厚生労働省では、各企業が実情に応じた就業規則を作成できるよう、同省ホームページにおいて「モデル就業規則」(以下、「モデル規則」)を公開していますが、この度、これの改定が行われました。
企業はこのモデル規則の通りに規定を定めなければならないわけではありませんが、規定作成の際の参考にはなります。

◆今回新設されたモデル規則の規定例は、以下の枠内の通りです

【 「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」の禁止規定(第14 条) 】
妊娠・出産等に関する言動及び妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は措置の利用に関する言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。
【 「その他あらゆるハラスメント」の禁止規定(第15 条) 】
第12 条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。
【 「副業・兼業」についての規定(第67 条) 】
1 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
※なお、「労働者の遵守事項」(第11 条)の規定から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」が削除されています。

ただ、企業単位で、副業に関する規制を緩やかにするとはいっても、1日の就業時間の半分を使ってもいいということにはならないと思います。多くの場合は、始業前・終業後、休憩時間、休日等を使って副業をすることになるでしょう。そうすると、企業としては兼業している労働者の労働時間の全体的な把握はできないわけですから、どのくらい疲労の蓄積があるかどうかということは労働者本人にしかわからないということになってしまいます。そういったことを避けるためには、兼業対象労働者に対して定期健康診断とは別に、定期的に医師による面談を行うようにしたり、毎月どのくらい働いてますか?といったアンケートやストレスチェックなどを活用して、労働者の健康状態を逐一把握できるようにしておく必要があります。

そこまでのことができて、初めて、兼業させられると思うのは私の持論ですが、万一の際に、責任を問われるのは企業ということになってきてしまう可能性がありますので、大げさなことではありません。たとえば、もし、労働者が本業の仕事中に倒れて、それが明らかに兼業が原因で倒れたんだと断定できればいいのですが、その判断は非常に難しいと思います。逆に、健康状態の把握をしていれば、ここまではうちの責任だけど、ここまでは本人の責任ですということがいえます。

ただ単に、兼業をさせることができるということだけではなく、労働者の健康面を考えて、適切な制度設計を行うことをお勧めいたします。


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