平成29年版「過労死白書」が公表。労働時間やストレスの実態は?

◆過労死等防止対策推進法第6条に基づく年次報告

厚生労働省は、10月上旬に平成29年版の「過労死等防止対策白書」(いわゆる過労死白書)を公表しました。この過労死白書は、過労死等防止対策推進法第6条に基づく年次報告書であり、今回が2回目となります。平成28年度の過労死に関するデータのほか、民間企業で働く2万人に労働時間やストレスについて聞いた平成27年度のアンケート結果を分析しており、電通の違法残業事件や、それを受けた政府の緊急対策も紹介されています。

◆労働時間の把握による残業時間減が明確に

上記アンケートの分析では、フルタイムの正社員(7,242人)では、労働時間が「正確に把握されていない」人にくらべ、「正確に把握されている」人は週あたりの残業時間が約6時間短く、「おおむね正確に把握されている」人で約5時間、「あまり正確に把握されていない」人でも約2時間短いことがわかりました。

◆過労死等の業種別の傾向は?

平成28年度に過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は前年度より2人多い191人で、近年は年間200件前後で推移して高止まりが続いています。業種別では、運輸・郵便業41人、製造業35人、建設業23人の順に多く、運輸・郵便業では約2割が残業を週20時間以上しており、他業種より際立って多いことがわかりました。一方、過去5年の過労自殺事例を年代別にみると、従業員100万任当たりの自殺者数は男性が40代の3.0人で最も多く、次は50代の2.8人、女性は10~20代が0.4人、30代が0.2人の順でした。

◆自営業者の長時間労働も明らかに

白書では、自営業者の長時間労働の実態も調査・報告しており、昨年、週60時間以上働いた自営業者の割合は13.6%で、全労働者の平均(7.7%)を大きく上回りました。週60時間以上働いた自営業者のうち、80時間以上働いていたのは1.5%。労働時間や日数の把握方法については、全体の73.4%が「特に把握していない」と答えています。厚生労働省ではこれらの調査結果をもとに、労働時間の適正な把握を促して長時間労働の是正を図るとともに、事業主に対する監督指導の徹底、労働者に対する相談窓口などの充実などで、過労死等ゼロに向けた取り組みを強化するとしています。


無期転換対応はお済みですか?

2013年4月1日に、労働契約法が改正施行され来年で5年が経ちます。

たとえば、今までパートタイマー等の期間雇用で、2013年4月1日から1年更新で労働契約を更新し続けて、2018年4月1日に契約更新を行った場合は、従業員から請求があった場合に無期雇用に転換しなくてはいけなくなり、実際に2019年4月1日からは無期雇用の従業員としなければなりません。

基本的に、労働条件等は従前と同じですが、たとえば、就業規則に「無期パートタイマー等」などと明確に区分されていなくて、労働条件通知書(契約書)等の文書の書面提示や説明もなく、正規の労働者と同じような働き方で働かせていたような場合は、給与、賞与や定年などの労働条件を正規の労働者と同じ条件で働かせなければなりません。

ただ、だからといって、2018年4月1日の契約で「契約更新をしない」とすると、労働契約法19条による不合理な雇止めにあたり無効とされるリスクがあります。つまり、2018年4月1日の労働契約を更新し、2019年4月1日から同法18条の無期労働契約へ転換をしなければならなくなるということになります。

ですので、現時点での対応としては、雇止めは得策ではなく、現実的には就業規則、労働条件通知書(契約書)等の整備をしていくことが肝要だと思われます。そういったサポートもしておりますので、是非、ご活用ください。


年俸制を採用している場合の割増賃金等

年俸制だと、残業代が出ないという都市伝説が独歩している、昨今。

以下の通り、最高裁が初判断を示しました。

<割増賃金を基本給に含める方法で支払う場合(固定残業代等)>

①基本給にあらかじめ割増賃金を含めることにより、割増賃金を支払うという方法が直ちに労基法37条並びに政省令の関係規定(以下、労基法37条等)に違反するものではない。

②割増賃金を支払ったとすることができるか否かは、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分とを判別することができることが必要である。さらに、この割増賃金にあたる部分の金額が、労基法第37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、その差額を支払う義務を負う。

<賞与の定めについて>

また、年俸の中に賞与を含める場合、例えば、年俸を16等分し、16分の1を月例賃金として支給し、夏と冬に16分の2ずつを賞与として支給する方法等です。通常の月給制の場合、賞与は、評価期間中の企業の業績や本人の成績の査定に基づき、賞与の額を決定し支給するため、「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に当たり、割増賃金の基礎となる賃金には参入されません。しかし、前段の年俸の場合、割増賃金の基礎に賞与の額も入れなければならないということになりますので、注意が必要です。

したがって、これまでの判例を踏襲するような形の扱いとなりますので、結論的には、年俸制であっても割増賃金は支払わなければなりません。プロ野球選手やサッカー選手等の年俸制はまた違うのですが、労働者として働かせる場合の年俸制では、基本、そういう扱いになっておりますので、重々ご注意ください。


業務委託?労働者?

ネットで気になる記事を確認したのですが、「〇〇〇〇レディ」って業務委託契約なのでしょうか?ちょっと、気になってみたので掘り下げてみました。

お悩み相談を見ていくと、バイクで仕事中、交通事故に遭ってケガをしてしまった。相手側が悪いのに、相手側への保障は出るが、本人には出ないと言われた。泣き寝入りをしたくないが、何か方法はありませんか?という質問に対して、労災で補償されますという回答があったものの、本人からの返信があり業務委託契約なので労災は出ないというやりとりでした。

果たして、そうなのでしょうか?

〇〇〇〇レディ募集サイトを見てみると、一例ですが、働き方が出ておりまして、朝9時には朝礼があるんですね。朝礼までに制服に着替えたり色々準備をしなければなりません。住宅担当は週1回訪問が基本、オフィス担当は毎日訪問で1日35~40軒(ノルマがあります)。お届けが終わったらそのまま帰宅じゃなくて、センター内で仕事があって、15時で退勤した後に制服から私服に着替えるということを事細かに書いておりました。

実態を見る限り、明らかに労働者です。ただ、これを会社に直接言ったところで会社はNoと言うでしょう。役所に駆け込んだところで、役所も業務委託契約なので労働者ではありませんと言われてしまえばそれまで。最終的には裁判ということになるでしょうが、そこまでするだけの利益があるかどうか、弁護士費用や裁判費用を払ってまで…ということにもなります。

しかしながら、労災が下りないというのは、非常に、大変なことです。軽微なケガであれば、国民健康保険で3割負担でできますが、場合によっては常時寝たきりで介護が必要になって働けなくなったり、亡くなることもあったりしますので、そこをカバーしてくれる保険って、あとは、介護保険、障害年金や遺族年金くらいしかありません。額も労災の同じ年金型の給付より低いですし、まず、国民健康保険だと休業補償が付きませんので長期の療養だと、他に保険会社等の生命保険に入っていたとしても厳しいですよね。

自動二輪車や原動機付二輪車を使う仕事というのは、生身ですので交通事故に遭って死亡する可能性が非常に高いです。もし、仮にそうなったときに、会社は「それは業務委託だから、自己責任で、本人もそれをわかって契約している」と言い張れるのでしょうか?非常に綱渡りな経営をされているなと思います。


高年齢者の窓口負担について まとめ②

高額療養費に関して

医療機関、薬局での窓口負担については、まとめ①でご説明した通り、1割、2割、3割となっておりますが、月で一定額を超えると負担はそこまでという仕組みがあります。

それが、高額療養費という仕組みです。70歳未満の方については、手術が伴うものや高額の薬を処方されているということでもない限り、使う機会はないかもしれません。(一旦3割を窓口負担してから後でもらうやり方と、窓口で高額療養費の限度額までの負担で済むやり方があります。)

しかし、70歳以上となると、外来療養のみでも月12,000円が上限になりますので、すぐに上限に達してしまいます。だから、医療機関や薬局の窓口では、保険証で生年月日を確認するということが非常に重要な役割になってくるのです。


また、医療費を払いながら、同時に、介護サービスも利用しているという方は、以下の高額介護合算療養費が上限となります。