最近、「同じ派遣会社、同じ派遣先で十数年間働いてきたけど、上司から来年の更新はないと言われた。」というようなお悩みをあちらこちらで耳にします。

平成27年9月30日に、労働者派遣法が改正施行され、一般労働者派遣と特定労働者派遣の区別がなくなり許可制となりました。26業務以外の業務は3年が限度とされ、派遣先の労働組合等からの意見聴取を行えば3年を超えて派遣労働をさせることができますが、同じ人を派遣する場合は同じ課へ派遣することはできなくなったため、違う課への配置等を行うなどをし、(派遣元との)労働契約更新を続けてきたという実態があります。

また、3年間派遣見込みがある方は、派遣期間が終了した後に雇用の継続を図るため、派遣元にて雇用安定措置(①派遣先への直接雇用依頼 ②新たな派遣先の提供 ③派遣元での無期雇用 ④その他安定雇用継続のための措置)を実施しなければなりません。ただし、派遣先は、その派遣労働者を直接雇用するかどうかは努力義務とされているため、直接雇用依頼をしたからといって必ずしも雇ってくれるかどうかわかりませんので、依然として不安定な状態に置かれてしまいます。

逆にいうと、26業務で働かれてきた方の場合は、派遣期間に制限がないため、今までずっと働き続けてきても問題にはならなかったといえます。

ただし、派遣元で、正社員でなく、期間雇用で短期の労働契約を更新してこられた方の場合、平成25年4月1日以降の期間が5年を超える場合(つまり、平成30年4月1日以降)に契約更新をし、労働者からの請求があった場合、その翌年から無期雇用としなければならないという労働契約法18条の規定が適用されます。

それを避けるために、「平成30年3月31日までに雇止めを行ってしまえ・・・」と考える社長さんが増えているということなのでしょう。しかしながら、それは労働契約法19条により、「①反復更新された労働契約により、その雇止めが社会通念上、無期雇用(正社員)の解雇と同視できると認められるもの」あるいは「②契約期間満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの」に該当する場合は、その雇止めは無効となり、契約を更新しなければならなくなります。

たとえば、「今まではそんなこと言われたことも、労働条件通知書(労働契約書)等にも書かれてもないし、何の説明もなかったのに、突然、言われて途方に暮れている。」などの場合、これに該当する可能性が非常に高いです。もちろん、労働条件通知書(労働契約書)等も何もない場合は、確実に該当します。

かといって、実際問題、どうやってそれを具体的に会社に説明して納得させていくのかということは、なかなか一個人で対応するのは不可能であることから、泣き寝入りをするしかないと考えてしまう方がほとんどだと思います。話し合いに応じてくれる会社であれば良いのですが、多くの場合は感情的になり、争いに発展する可能性が非常に高いため、下手に労働組合に相談されるよりは、労働問題に詳しく実績のある弁護士に相談されるというのがベストだと私的には考えます。

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