◆労働時間の記録と保存

来年4月から、いわゆる「管理職」の労働時間把握と、その記録の保存が企業に義務づけられ
ると報道されました(日経新聞7 月31 日付)。
現状でも、企業はタイムカードやパソコンなど「客観的な方法」により労働者の労働時間を記
録し、3年間分保存しなければなりません(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者
が講ずべき措置に関する基準」)。この範囲に、新たに管理職も含まれるとのことです(取締役
ら経営陣は対象外)。

◆労基法の管理監督者

労働基準法の「管理監督者」は、労働時間や休日の規定の対象外とされています(ただし深夜
割増賃金の支給や年次有給休暇の付与は必要)。
管理監督者は、経営に参画する立場として、自らの労働時間に一定の裁量があるためです。
そのため、管理監督者の労働時間の把握や保存の義務はありませんし、それゆえ現状で管理監
督者の労働時間管理がなおざりになっている企業もあるでしょう。

◆改正安衛法の「面接指導」

一方、今回の労働時間把握義務は、労働安全衛生法(安衛法)上の「面接指導」を目的とする
趣旨です。安衛法は、管理職を含むすべての労働者の健康管理等を目的としています。
該当条文は以下の通りです。
「事業者は、(略)面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(略)
の労働時間の状況を把握しなければならない。」
(改正第66 条の8の3)

◆管理職の過重労働にも注意

条文等で明らかでない詳細については、今後の政省令等を待つことになりますが、さしあたり
企業の実務上、現在一般社員が行っている出退勤記録と同じことを、管理職にも徹底させる必要
がありそうです。
昨年は、大手電力会社の課長職の過労自殺や、ドーナツのフランチャイズ店の店長(「名ばか
り管理職」と批判されました)の過労自殺など、管理職の過重労働に関する報道も少なからずあ
りました。
一般従業員だけでなく、管理職の過重労働にも注意していきましょう。

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